「日本で発生したある種の波が、僕や僕の家族の頭上で大波になって砕けた。」
とクリス・デドリックはライナーノーツで書いている。
これは28年ぶりの「新作」というありえないような1枚だった。
日本のファンの後押しがなければ成立しなかったアルバム。その意味で、ファンとしてはとても誇らしいアルバムと思える。
オリジナルアルバム7枚+1枚というこの「1枚」が輝いている。
フリーデザインが好きで好きでしょうがない人達がきっと、当時の日本には万単位でいたのだろう。
内容はというと、これが全然衰えていない。というよりも嘘みたいに完全に地続きだった。
一番最後にでた、There is a songに近い。
音質とかアレンジとかは、確かに変化はあるけれど、複雑なアレンジとメロディの良さ。
シメナワみたいにがっちり進むコーラスワーク。
後追いファンの僕が全部一緒くたに同時に聴いて納得したわけだから、その辺は信用してもらって大丈夫です。
でも、今の音楽というフィルターを通すと、やはり彼らの音楽は「ある特殊な音楽」そんな風に聴こえてくる。
ブームが去ったという事もあるだろうけれど、不思議な事にこのアルバムが一番「懐かしい」と感じてしまった。「現代」にリリースされたという感覚が、純粋な評価を妨げていて、時代性をどうしても切り離す事ができないんだろうと思う。
だから、例えば、もっと時間が経って、あと50年もすれば同じフィールドに乗せることができるんじゃないかと思う。1990年と1968年の差を説明しなければ分からなくなるぐらいに時間が経ったあとで。それに意味があるかと言われば困るけど。
それでも、1曲目の「Cosmic」と最後の曲の「Perfect Love 」はかなりいいです。