フリーデザインの1枚目。カイツ・アー・ファンである。
先に他のアルバムを集めてしまっていて、聞いたのは結構後の方になってしまった。
リード曲のカイツ・アー・ファンは5枚目のミニアルバム「子供達の歌」に収録されているので、ちょっと後回しにしてしまっていたわけだ。
長男のクリス・デドリックが、ニューヨークに音楽を(トランペット)を学びにやってきたのが、1966年頃、一緒に来ていた姉のサンディ弟のブルースと3人で、フォークや曲のアレンジを楽しんでいたところ、その評判が良く、オリジナルを作ってみようというこになり、最初に出来たのがこのカイツー・アー・ファンだったそうだ。トロンボーンを吹き、ビッグバンドのアレンジャーだった父親 アート・デドリックに聞いてもらったこところ、こらならいけるとお墨付きをもらい、さらに今度はトランペットアレンジで試みてみるように進められて、できた曲が3曲目にはいっている「THE PROPER ORNAMENTS」この2曲がそのままフリーデザイン初のシングルとなった。シングルはチャート最高位114位を獲得、ラジオでもTOP40まで行くが、Enoch Light’s Project 3のポップス畑の販路が弱く、レコードショップに言っても置いていないことがしばしばだったとか。系列の会社である「ミシン販売店」の方がまだ見つかったかもしれないとはクリスの弁。
そんな弱いレーベルを選んだのはひとえに、作詞家、作曲家としての挑戦の気持ちの強さからだった。もっと大きな強いレーベルからいくつか声がかかったが、そのレーベルが期待していたのは兄弟のコーラスワークのみだった。レーベルは独自の作詞家、作曲家を抱えていたから、その歌い手としての彼らを「スタジオシンガー」として期待していただけだった。叫んだり、ドラムを激しく叩くことによって生まれるロックではなく、別のアプローチからロックを作るというのがクリス・デドリックの野望だった。だから、その話は論外だった。セールスは厳しいものだったが、自由に製作が可能だったEnoch Lightと契約した。後の数々のアルバムの出来映えとしての成功はこの判断あってのことである。
カイツー・アー・ファンは、ジャズ色やファンク色というものは薄めで、アレンジはまだおとなしい。コーラスがはっきりした印象を受ける。おそるおそるといった感じもするが、3人の声はやはりマッチしている。もちろんシングル、カイツ・アー・ファンは素晴らしい。フルートのきれいな音から始まり、3人のユニゾンからすぐにめくるめくサウンドを聞かせてくれる。他の曲といえば、「59番街の歌」などの、優しめのアレンジほっとする。ともするとするっとすり抜けてしまいそうな柔らかさがある。他には「Dont tune away」や「NEVER TELL THE WORLD」もなかなか良い。個人的にはフリーデザインの曲はカヴァーよりもこういう「オリジナル曲」の方が素晴らしいと思う。
1. カイツ・アー・ファン
2. メイク・ザ・マッドネス・ストップ
3. ホエン・ラヴ・イズ・ヤング
4. プロパー・オーナメンツ
5. マイ・ブラザー・ウッディ
6. 59番街橋の歌(フィーリン・グルーヴィ)
7. ドント・ターン・アウェイ
8. アンブレラズ
9. ミッシェル
10. ネヴァー・テル・ザ・ワールド
11. 男と女
12. ステイ・アナザー・シーズン
13. カイツ・アー・ファン(シングル・ヴァージョン)