フリーデザインの通算2作目、晴れた空に雲、うきうきするような面持ちで、自信に満ちた4人のメンバー。
まずは、ナイロンギターが効果的な、ブラジルテイストの「You Could Be Born Again」から始まる。
今作から妹のエレン・デドリックが参加し、これで男女2名づつの構成になった。「Mamas and the Papas」や「フィフスディメンション」のように男女の掛け合いができるようになったわけである。
コーラス4人体制になったわけだから、インパクトのある掛け合いが可能になったはずなのだが、長兄のクリス・デドリックが目指したサウンドは緻密さの方だった。
4人をフルに歌わせることはほとんどなく、パワフルなのは3曲目のカヴァー「California Dreaming」ぐらいで、あとは抑制という言葉がふさわしいぐらい声を楽曲に配置していっている。それでもエレンの参加による厚みは増していて、Quartet No 6 In D Minerの中盤での4人のコーラスワークなんかはそれは見事なもので、そこばっかり何回も聴いた。
1thの「カイツー・アー・ファン」が、おしゃれにで喫茶店なんかで楽に聞けるイージーリスニングのような趣も多少あったけれど、「ユー・クッド・ビー・ボーン・アゲイン」は耳を澄まして聴く事でそのうまみを聞き出せるアルバムになっていて、聴く方も多少集中力が必要だ。もちろん、キャッチーな「You Could Be Born Again」やバカラックナンバーの「The Windows of the World」なんかをのんびり楽しめむこともできるけれども、このアルバムの聞き所はそんな緻密なコーラスワークをじっくり楽しむことにあると思う。
さらに、音質もずいぶん発展していて、ライナーノーツを見れば、スタジオミュージシャンとして40人規模の名前が書いてありレーベルからの強力なバックアップを得ているようで、楽器の音が格段に良くなっている。さらにピーター、ポール&マリーやカーペンターズを手がけた伝説的なフィル・ラモーンがエンジニアとして参加し、彼のおかげでクリスはコーラスワークのアレンジに集中することができたそうだ。
この時代で唯一のグループとして評価され、期待の高さがうかがえる力の入れようだ。デドリック家がフリーデザインで何ができるかを追求しはじめたこのアルバムは、相変わらずセール面では厳しいものだったが、2枚目のジンクスのような退屈さはこのアルバムには皆無だった。おすすめの曲は「I Found Love」や「Doniel Dolphin」が好み。ポップで有名なビートルズのカヴァー「Eleanor Rigby」やママス&パパスの「California Dreaming」のカヴァーの方が、目立つのにすぐに飽きてしまうのがフリーデザインの不思議でオリジナルな所です。CDにはボーナストラックでクリスマスソングが2曲入っています。
1. You Could Be Born Again
2. A Leaf Has Veins
3. California Dreamin’
4. The Windows Of The World
5. Eleanor Rigby
6. Quartet No 6 In D Minor
7. I Like The Sunrise
8. I Found Love
9. Daniel Dolphin
10. Happy Together
11. Ivy On A Windy Day
12. An Elegy
13. Close Your Mouth (It’s Christmas) ボーナストラック
14. Christmas Is The Day ボーナストラック