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ヘブン・アース / フリーデザイン

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heavenearth

heaven earth

このアルバムは一番手に入らなかった。
フリーデザインの存在に気がついて、喜んでCDショップに出かけたら、ちょうど再発されたCDが廃盤になった直後で、店頭からまさに姿を消しつつあったところだった。残っていたのはベスト版と「One by One」とリミックス版だけだったと思う。その時は、単にまだCDが販売していることのみを喜んでいたから、取り寄せればいつでも手に入ると思って気がつかなかった。廃盤になったのを知ったのは後になってからだった。

他のアルバムはオークションやタワレコなどの売れ残りなんかで、発見して手に入れたが、どうしてもこのHeaven/earthだけが手に入らない。ボーナストラックの入っていない版は見つかるが、エレン・デドリックのソロ曲「Nature boy」「Settlement Boy」とTony Mottolaのバックボーカルを努めた「Warm,Wild&Wonderful」の入った版が見つからない。これをフリーデザインのベストのアルバムだと言う人もいて、アマゾンで9500円の高値ついていたのを見つけるが迷った末に買えず。ヤフオクで競り負けたこともあり(8000円超えとかになった)、まともな値段で実際に手元にくるまでに1年ぐらいかかってしまった。

そういうわけでずっとお預け状態だったから、このアルバムは個人的に、ひとしお愛しく好きなアルバムになっている。まず「My Very Own Angel」。オープニングにスローテンポの曲を配置するあたり、相当な自信が伺える。この時期のアルバムにオープニング曲がスローな曲が入っていることはまずありえない。続いて4人がパワフルに歌う「Now is The TIme」。ちょっ派手でやり過ぎとクリス・デドリックがコメントしているが、ここでパッと目が覚める。これが普通なら1曲目にくるだろう。ちなみに、今作ではシングルリリースを止めて、アルバムアーティストとして挑んでいたらしい。ライブやラジオには出るがシングルは出さないという「もったい」をつけた売り出し方だったそうな。続いて「If I were A Carpenter」「You be you and I’ll Be」「Girls Alone」と続き、レコードでいうA面の最後の曲にはフリーデザイン屈指の曲「2002 A HIt Song」がある。「2002~」は2002年にラジオでヒット曲を狙うぜ!というちょっと内輪ネタぽいちゃかした歌詞ではあるが、これがすごい。ビートにのって声がぐいぐい迫ってくる、聴いていると自然に体が動き出してリズムを取り出しだし、曲の2番にはいるころには、足をばたばたさせずにいられない。この、めくるめくストリングスアレンジとはこのことか。

後半に入るとぐっとしぶい「Summer Time」がある。さらにブルースが好きだという「Hurry Sundown」シングルを出さない変わりにレーベルから流行の曲を勧められて、入れたミュージカル「hair」の「Where Do I Go」(もちろん、売れ筋アレンジではない)など、フィル・ラモーンがエンジニアとして前作に続いてがっちりメンバーをサポートし、声にも音にも一層の安定感を得ている。さらに技術的に16トラックがつかえるようになったためか、前2作よりもどうも一回り大きなエンジンを備えたように感じられる。曲のコーナーを曲がる切れ味やアレンジの妙、コーラスの強弱などにはっきりとそれを感じる。作曲のクリス・デドリックはこのアルバムから自分が描く音楽を自由に表現できるようになったのだろう。ポップな要素と複雑な音楽性を柔剛の技で同居させつつ、目指したシャウトに頼らない「ロック」なアルバムになっている。

ボーナストラックに収録されたTony Mottolaのミニアルバム曲は、レーベルのEnoch Light’sが他のアーティストと競演させてお金を稼ぐこと、そして彼らのスタジオワークの経験値のために参加させたものらしい。曲目はバカラックのカヴァー「Do you know The Way To San Jose」やフリーデザインのオリジナル曲「カイツーアーファン」などをTony Mottolaがナイロンギターで主メロディを取り、フリーデザインはバックコーラスに入っている。なお、フリーデザインの価値を落とさないために、完成した「Warm,Wild&Wonderful」にはフリーデザインのクレジットは入っていないそうだ。イージーリスニングのような音ではあるが、時折入る「ワ」とか「パ」とかの声に、リラックスした微笑ましさを感じる。

メタル&ハードロック→70'Sロック→90'Sロック→50'Sジャズ→90'Sジャズ→クラシック。ある意味、優等生的に順序良く音楽を聴いて来たのに、 なんでか、ここに来て→60'S~ポップスの世界へ埋没・・。名残にも埋没 「ソフトロック・カフェ」を夢見る人の音楽紹介ブログです。

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