キャロルキングって「つづれおり」が話題になるのと同じぐらい「歌がうまくないよね」みたいな話になるけれど、個人的にそんな事を思ったことは一回もない。普通にうまいんじゃないのといつも思っている。少なくとも僕よりはうまいし、声も好きだ。彼女の作る膨大な曲を色んな人がカヴァーしているけれど、誰のヴァージョンよりも本人が歌っているヴァージョンの方が、声が耳にずっと残っている。
力強さとか、通る声とかは確かに持っていない。叫んだり捻ったりしないって事がうまくないというならその通りなんですが、ソフトロッカーには元々そういうのはそんなに必要ない。彼女のようなか細くて、静かで、横にいて話しかけるような歌声なら、ちょっとした音階の転調ですら、思春期に好きな子に話しかけられるようにドキッとするわけです。
「I’d Like to Know you Better」のバックコーラスがクロスビー・アンド・ナッシュ。これだけでも、血圧が上がらなければならない。特に声で抑揚をつける部分がない程、曲が良くないとどうにもならないけれど、本当にメロディメーカーとして優れているかが良く分かる。抵抗できない曲の良さ。
ついでに「つづれおり」にふれておくと、何でそんなに売れてるの?という気もする。ただ単にタイミングじゃないのかなってぐらい、他のアルバムだって素晴らしい。ということで、評価高くなくて「この出来」ですから、ソフトロック好きなら、このソロ8作目「サラブレッド」も持っておくべし。